患者さんの多くが病院を訪れる理由は痛みです。
本来痛みは体の異常を知らせるためのものですが、体が回復しても痛みだけが残ると、新たな痛みやより強い痛みが出たりすることがあります。
痛みは身体的にだけでなく精神的、社会的にも苦痛や制限が加わるものであり、それが続くと患者さんの生活の質を低下させてしまいます。
ちなみに警告のために出る痛みを急性痛、残ってしまった痛みを慢性痛といいます。
ペインクリニックは名前の通り、痛みを治療するための医療機関です。
原因がわかっている痛みだけでなく、原因不明の痛みやしびれ、神経の失調にも対応しています。
頭痛や肩こり、膝痛や腰痛、坐骨神経痛や帯状疱疹などの痛みも治療の対象です。
特にがんの患者さんは、急性痛と慢性痛の両方が発生する傾向にあり、治療が困難です。
痛みの緩和の技術を上げるためには、医師や看護師だけでなく、薬剤師や臨床心理士など多くの職種の人が一体となり、連携する必要があります。
そしてその際、体の痛みだけでなく、心の痛みを取るサポートもみんなで考えなければなりません。
ペインクリニックの特徴的な治療法は、ブロック治療です。
手術直後の急性痛の緩和に利用されることでも知られ、痛みだけでなく嘔吐やふらつきなども防ぎます。
痛む部分に局所麻酔薬を注射して血管を拡張させ、血流を改善して痛みの原因物質を洗い流します。
効き目は一時的で、一般的には4回~5回の治療が必要です。
患者さんの症状や状態によって、50種類以上の中から適切なブロックの方法が選ばれます。
慢性痛に対しては、薬物療法やリハビリテーション、認知行動療法などが用いられます。